第百三十五話:「夏野菜・胡瓜よもやま話」
夏野菜の定番「キュウリ」は、インドのヒマラヤ山麓の原産でシルクロードを渡って来たことから、 *「胡瓜」と表記しますが、黄色の花を咲かせ、実が熟すと黄色くなるので「黄瓜」とも表記されます。 花言葉の「洒落」は、胡瓜のすらりと伸びる細長い姿や、反り返って曲がったユーモラスな形状に 由来するそうです。 生き得たる四十九年や胡瓜咲く 日野草城 窯の道胡瓜花咲き雲暑し 水原秋櫻子 わたしの胡瓜の花へもてふてふ 種田山頭火 平安時代には、すでに我が国へ伝わっていたようで、室町時代に来日した宣教師のフロイスは 日欧の文化の比較を多々論じており、その中で、欧州人は胡瓜を未熟なまま食べるが、 日本人はすっかり黄色に熟してから食べると記しています。 瓜類の中では、花が咲いてから一番早く、数週間で収穫できる利点もあり、 その後江戸時代までには、広く全国の庶民にも普及こそしましたが、味覚に敏感な日本人には、 胡瓜独特の苦みを嫌い、「賞玩ならず」と「最下品」に格付けされるなど、 余り人気はなかったそうです。 さらに、切り口が徳川の葵の紋に似て縁起が悪いとか、三日天下の明智光...